「わぁーい!楽しみにしてるね!じゃあいつもの公園に3時集合だからねー!」
紅葉は、いつの間にか勝手に時間まで決めてしまっている。
「はーい。じゃあ、紅葉くんまたあとでね!」
そんな紅葉の無茶振りに萌花ちゃんは、二つ返事で了承していた。
約束を取り付け、満足した紅葉がようやく俺にスマホを返す。
スピーカーをOFFにし、自分の耳元にスマホを近づけた。
「あ、もしもし。萌花ちゃん?紅葉が急に無理言ってごめんね。15時から大丈夫?約束とかあったんなら全然時間ズラすから」
「楓先輩。大丈夫です。今日は特に予定なかったので…」
「そっか、ならいいんだけど、」
と、ホッと胸を撫で下ろした。
次の瞬間。
「おい、萌花!今日は俺と約束あったじゃん」
そんな拗ねたような男の声が電話越しに聞こえてきて、思わず固まる。



