パクパクと、旨そうに弁当を食べる田島を見て俺は肩を落とす。
…そりゃ、先輩には会いたいけど。
また、迷惑かけるんじゃないかって思うと気が進まなかった。
あんだけ、ハッキリ拒絶されればさすがに傷つくって。
「つーか、本田ならあの先輩じゃなくてもすぐ彼女できるだろ?モテモテじゃん」
と、こちらをチラチラ気にしているクラスの女子グループの方をチラッと見た田島が声をかける。
そりゃ、昔からどちらかと言えばモテてきた。バレンタインだってそれなりに数もらってきたし。
でも、
「…いくら美味しいチョコ貰っても、俺の中ではあの時の板チョコが一番旨かったんだよ…」
ポツリと、呟いた声は田島に聞こえたのだろうか。
ヤツなりに気を遣っているのか、それきり、俺に話しかけようとせず、黙々と自分の弁当を食べていた。



