チョコレート記念日Ⅱ~ホワイトデー編~



「…わかりました、帰りましょ」


先輩の嫌がることはしたくない。


そう思って、先輩の提案に素直にのることにした。


「…う、うん!」


あからさまにホッとした様子の彼女を見て、


ズキン 


と、心が傷む。


……先輩、そんなに、俺と2人でいるの嫌?


と、直接聞く勇気は俺にはなかった。


けど、 


今回のダブルデートで嫌でも気づいてしまう。


俺の気持ちってもしかして、先輩にとって迷惑なんじゃないかってことに。



「…先輩、駅まで送りますね」


と、言ってみたものの正直、送るのも断られるんじゃないかって内心ビビってた。


あさみ先輩は、小さく


「うん。ありがとう」


と、呟いて俺の隣を歩いてくれた。


駅に到着し、別れ際、


「また、皆で行こうね」


先輩は、そう言って笑っていたけど


俺は上手く笑えなくて。


きっと、ぎこちない笑顔になっていたと思う。


ホームに向かって歩くあさみ先輩の後ろ姿を見つめながら、俺は小さなため息を溢したのだった。