「…わかりました、帰りましょ」
先輩の嫌がることはしたくない。
そう思って、先輩の提案に素直にのることにした。
「…う、うん!」
あからさまにホッとした様子の彼女を見て、
ズキン
と、心が傷む。
……先輩、そんなに、俺と2人でいるの嫌?
と、直接聞く勇気は俺にはなかった。
けど、
今回のダブルデートで嫌でも気づいてしまう。
俺の気持ちってもしかして、先輩にとって迷惑なんじゃないかってことに。
「…先輩、駅まで送りますね」
と、言ってみたものの正直、送るのも断られるんじゃないかって内心ビビってた。
あさみ先輩は、小さく
「うん。ありがとう」
と、呟いて俺の隣を歩いてくれた。
駅に到着し、別れ際、
「また、皆で行こうね」
先輩は、そう言って笑っていたけど
俺は上手く笑えなくて。
きっと、ぎこちない笑顔になっていたと思う。
ホームに向かって歩くあさみ先輩の後ろ姿を見つめながら、俺は小さなため息を溢したのだった。



