ま、マジで…?
叶多先輩を見ると、"頑張れ"と、口パクしてくれている。
……瑞季先輩、さっきは失礼なこと考えてすみませんでした。
心の中でそう謝罪し、俺は瑞季先輩に向かって小さく頷いた。
そして、俺たちのやりとりを不思議そうに見ているあさみ先輩に向かって
「あさみ先輩!行きましょ」
満面の笑みで声をかける。
「ど、どうしたの急になんか、テンション高くない?」
「いや、実は俺かなり映画楽しみにしてたんですよね」
「そうなんだ?確かにこの映画面白いって話題だったもんね」
「ですね。楽しみだなぁ」
本当は、映画なんかより、先輩たちと別行動した後のプランを楽しみに考えているんだけど。
さて、あさみ先輩は、どこに連れていったら喜ぶのか……。
そんなことに思いを馳せながら俺は、映画館に向かって歩き出したのだった。



