思わず、立ち止まった俺。

「え、ちょっと…大地!?」

そのまま蘭の腕を掴み、自分の方に引き寄せ、小さな体をギュッと、抱き締めた。

「大地!急にどうしたの!?てか、ここまだ外だから、はなしてよ、近所の人にでも見られたらすぐ噂になっちゃう」

たまたま、人の姿は見えないが、住宅街のど真ん中。

しかも、自分達の家の近所だ。いつ、人に見られてもおかしくない。

「いいから、もうちょっとだけこのまま」

優しく壊れ物を扱うように蘭を抱き締める。

「…もう、いいでしょ、本当にはなして!」

ジタバタと、動く蘭の髪からフワッと、甘い香りがして、

思わずバッと、体をはなした。

危ない、これ以上抱き締めてたら、公共の場では見せられないことまでしてしまいそうだ。