俺はそう呟くと、蘭の手を掴む力を緩める。

その間に、蘭は、ゆっくりと、俺に視線を合わせた。

「…ハァ…で、話って?」

小さくため息をこぼし、蘭は俺を見つめる。

……っ、

ジッと、伺うような視線に今度は俺がつい視線を背けてしまった。

いや、その顔反則…。

絶対、顔赤くなってるわ。

「…なによ、その態度…。私と顔も合わせたくないってこと?」  

そんな俺の気持ちとは裏腹に蘭は、マイナスな方向で話を進めている。


「そうじゃなくて!……お前が見つめるから照れたんだよ」

「………はぁ!?な、わけわかんない。私はさっきの子について説明してほしいんだけど!」


俺の言葉に面食らったのか蘭の声が少し上擦った。

「だから、さっきの子は……えーと、」

偶然会った経緯から説明した方がいいのか?

俺だって、よくわからないうちにあんな展開になっちゃったし、蘭に上手く伝わるといいけど。


「だから、まず最初から話すとだな。」


「………大地にバレンタインチョコあげてた子、でしょ?」