人混みを抜け、キョロキョロと、辺りを見渡すが、

……ったく、蘭のやつ足速すぎだろ。

蘭の姿が見つからない。

さっきから、スマホに電話かけてもでないし…。

どんどん焦りだけが募っていく。
 
そんな感情を物色するように、俺が一度、呼吸を整えた。

その時。

見つけた!!

人混みの中を歩く後ろ姿をとらえる。

俺は見失わないうちにと、その姿を追って駆け出した。

「蘭!!ちょっと待てって!」

ようやく追い付き、俺は蘭の腕を後ろからギュッと、掴む。

一瞬、蘭はビックリしたように振り返り、パチパチと、瞬きを繰り返していたが、

「…っ、はなしてよ!」


そう言って、手を振り払おうとした。


「ぜってー、はなさない。とりあえず、話聞いて」