sweetな彼とbitterなハニー


 「ごめん、嫌な思いさせてたんだってようやく気付いた。こんなダメな俺だけど、俺には涼音しかいないんだ。この先も一緒に居たい、俺と結婚してくれませんか?」

 今年のバレンタイン、一年かけて準備した指輪と一緒に俺は自分の正直な気持ちを差し出す。

 涼音はさっき以上に驚いて目を見開いたかと思うと、その目からぽろっと雫をこぼす。

 「どこでもいい顔するの辞めてくれる? 彼女いるくらいは言ってくれなきゃもう無理!って言おうとおもってたけど、まさかそんなもの飛び越えたこと言われると思わなかった」

 そんな彼女をぎゅっと抱きしめて、ごめんなと心から謝ってそして頬にキスをして言った。

 「それで、俺も結構本気でお願いしにきたんだけど返事は?」

 「もう、関係を話しても大丈夫だよね?」

 俺を見て言う彼女に俺は頷いて答える。

 「当たり前だろ、涼音が俺の奥さんになるんだから」

 「嬉しい。柊吾さん、よろしくお願いします」

 彼女らしい、真面目ないい返事にやっと俺は息をつく。

 「これさ、俺がそこそこの行動取らなかったらどうしてた?」

 少々残っていた疑問を投げかけると、涼音はサクッと一言返してきた。

 「正直しんどいなと思ってたから別れ話になってた、かな?」

 疑問符付きでも結構マジな方向で考えてたな……。

 今後はいい顔ばかりを考えたり、楽な方を選ぶのはやめよう。
 俺にとっての大切な人を第一にしなければ、俺ほんとに捨てられるところだった。
 高野さんに感謝しつつ、彼女の手を放さずに済んだことに心底安堵した三度目のバレンタイン。

 二度目の逆バレンタインをギリギリ成功させた俺は、その翌月のホワイトデーに彼女が用意してくれた婚姻届けに記入して結婚したのだった。

 fin