23時05分 家を飛び出して、駅までの道を少し早足で歩く。 最終電車の時間は調べてある。 雑に突っ込んだ化粧ポーチが、鞄の中でガチャガチャと音を立てる。 頬にあたる風が冷たくて、薄着で出てきたことを後悔する。 駅に着くと、電車はもう来ていて、乗り込む人は私以外に誰もいなかった。