エレベーター

古い校舎へ入るときにはわざと廊下の継ぎ目や、壁のシミを写してみた。


『なんだか本当に怖いね……』


一穂が固唾を飲む音がここまで聞こえてきそうだった。


そして、エレベーターの前に到着した。


「今日も特に変わったところはないかも」


エレベーターは相変わらず沈黙を貫いている。


ほとんどの生徒がここにエレベーターがあることなんて、認識外に置いて生活をしているだろう。


『扉を開けてみて』


幸生に言われてあたしは扉に手をかけた。