エレベーター

1人きりの教室内は途端に寒々しさを加速させた。


人の会話や呼吸音、その他雑多の音が全て消えて自分の音しか聞こえてこない。


普段は気にならない時計の秒針がやけに大きく響き始めて、それは教室のどこに居ても同じ大きさで鼓膜に届く。


窓の外はとてもいい天気で、雨が降る気配はなかった。


今日も一応傘を持ってきているけれど、無駄骨で終わりそうだ。


そんなことを考えている時、ふと太陽が分厚い雲に覆われた。


窓からの光が極端に少なくなり、蛍光灯の光だけで教室内が映し出される。


温かみのない無機質な光に包まれた瞬間、ゾクリと全身が泡立つのを感じた。


咄嗟に誰もいない教室内を見回して確認する。


しかし、ここにいるのはあたし1人で変わったところもひとつもない。


今日は1人で肝試しということで、ちょっと神経質になっているみたいだ。