エレベーター

まさか本当に心配してくれるなんて思っていなかった。


「う、うん……」


充弘があたしの心配をしてくれることが嬉しくて、否定することもできなくなってしまう。


あたしはぎこちなく頷いて、ほほ笑んだ。


「怪奇現象を見たのは美知佳だもんな。それに昨日は4人で残っちゃったからなにも起きなかったんだ。今日は絶対になにか起こるぞ!」


幸生はすでに目を輝かせはじめている。


本当にオカルトにドはまりしているのだろう。


そんな幸生を見ている一穂も嬉しそうだ。


今更引き返すことはできなさそうな雰囲気だ。


「ただし、なにかあったらすぐに助けに来てよ?」


あたしは発案者である一穂へ、念を入れるようにそう言ったのだった。