「ちょっと変な質問なんですけどいいですか?」


「変な質問?」


真紀恵先輩はあたしの言葉に首をかしげている。


「はい。あの……この学校のエレベーターについてなんですけど……」


「あぁ。壊れてて使い道がないエレベーター?」


真紀恵先輩はそう言ってクスッと笑った。


途端に毒舌になったのは、人に関する話じゃなかったからだろう。


「そうです。そのエレベーターって、本当に使えないんですよね?」


「もちろん。ドアは開閉できないようになっているみたいだし、そもそも動かないよ? あたしも入学した時は何度もボタンを押して試してみたもん」


真紀恵先輩はそう言い、懐かしそうに目を細めた。


「そうですか……」


やっぱり、結果は同じだった。


あたしの見間違いだったのだ。


そう思った時だった。


「例えば、エレベーターについての噂話とかは聞いたことがないですか?」


幸生が一歩前に出てそう聞いたのだ。