中学時代とはまた違い、高校は高校で上下関係の緊張感がある。


充弘は野球部でそのことを痛感しているようで、大きな体を終始小さくしてあたしたちについて来ていた。


「真紀恵先輩、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」


「なに? あ、みんなは美知佳の友達?」


真紀恵先輩は長い髪の毛をかき上げてそう聞いた。


「そうです。同じクラスの一穂っていいます。こっちは野球部の充弘と、オカルト好きの幸生です」


一穂がハキハキとした口調で挨拶をした。


「そう。初めまして」


真紀恵先輩がニッコリとほほ笑むと、周囲に花が咲いたように見える。


中学時代から妙にフェロモンが多い人だった。


「それで、聞きたいことって?」


目がハートマークになっている男子2人には興味がないようで、真紀恵先輩はこちらへ視線を移動させて聞いた。