「エレベーターの怪談についてに決まってるだろ」


幸生の言葉にあたしは目を丸くしてしまった。


「まだそんなこと言ってるの? さっき先生だって言ってたじゃん。エレベーターは誰にも使えないように溶接されてるんだって」


「そりゃ、先生だからそういう話もするんだろう?」


「それって、先生が嘘をついてるって意味か?」


充弘がやって来て、呆れ声でそう言った。


「その可能性は高いと思うぞ?」


「ま~だそんな話してるの? オカルト系の話ばかりしてるから彼女ができないんだよ?」


一穂が幸生の背中を叩いて嫌味を言っている。


しかし、幸生はそんなこと気にも留めない様子で目を輝かせ続けている。


「なぁ、先輩ならきっと色々教えてくれる。行ってみようぜ!」


幸生の言葉にあたしは一穂と充弘へ視線を向けた。


2人は諦めたように苦笑いを浮かべている。


「わかった。じゃあみんなで一緒に行ってみようか」


あたしはそう言い、席を立ったのだった。