エレベーター

☆☆☆

翌日も学校は休みだったが、放課後の時間になるとあたしの体は校舎内にあった。


わかっていたことだけれど、何度これを繰り返しても慣れる事はなかった。


古い校舎のまとわりつくような空気。


足を何かに捕まれているような感覚。


出口が見えるのにたどり着けないもどかしさ。


そんなものを感じながら、あたしは充弘に電話を入れた。


もちろんビデオ通話だ。


外からはなにもできないにしても、こちらの状況を把握しておいてもらえると安心する。


『今日もまたか……』


ため息交じりにそう言う充弘は、すでに学校前に来ているようだった。


今までのことを踏まえて、先に来ていたのかもしれない。


「うん」


あたしは重苦しい気分で頷く。