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咲子さんの仏壇は和室に置かれていた。
ドッシリと大きくて、存在感のある仏壇だ。
遺影の中で笑う咲子さんはとても綺麗にほほ笑んでいる。
この人はもうこの世にはいないのだと思うと、自然と涙が込み上げて来た。
「咲子さんは、エレベーターの中で亡くなられたんですよね?」
出してもらったお茶をひと口飲んで、あたしはそう訊ねた。
「そうよ。咲子は元々病弱だったのだけれど、幼いころに事故にあって片足を無くしたの。それで坪井高校に入学したのだけれど、不運なことにエレベーター内で発作を起こしてしまった……」
それは清田先生に聞いた話とほぼ一致していた。
「気が付いた先生がすぐに救急車を呼んでくれたけれど、咲子はそのまま……」
そう言って言葉を詰まらせる女性。
今でも咲子さんのことを心から愛しているように見えた。
でも、それならなぜ咲子さんは未だにエレベーターの中に現れるのだろう?
立派な仏壇に綺麗な遺影。
ちゃんと供養されているはずだった。
それでもエレベーター内で発作を起こしたときの恐怖や絶望が今もなお消えることなく残っているというのだろうか?
あたしは納得できない気持ちで、咲子さんの写真を見つめたのだった。
咲子さんの仏壇は和室に置かれていた。
ドッシリと大きくて、存在感のある仏壇だ。
遺影の中で笑う咲子さんはとても綺麗にほほ笑んでいる。
この人はもうこの世にはいないのだと思うと、自然と涙が込み上げて来た。
「咲子さんは、エレベーターの中で亡くなられたんですよね?」
出してもらったお茶をひと口飲んで、あたしはそう訊ねた。
「そうよ。咲子は元々病弱だったのだけれど、幼いころに事故にあって片足を無くしたの。それで坪井高校に入学したのだけれど、不運なことにエレベーター内で発作を起こしてしまった……」
それは清田先生に聞いた話とほぼ一致していた。
「気が付いた先生がすぐに救急車を呼んでくれたけれど、咲子はそのまま……」
そう言って言葉を詰まらせる女性。
今でも咲子さんのことを心から愛しているように見えた。
でも、それならなぜ咲子さんは未だにエレベーターの中に現れるのだろう?
立派な仏壇に綺麗な遺影。
ちゃんと供養されているはずだった。
それでもエレベーター内で発作を起こしたときの恐怖や絶望が今もなお消えることなく残っているというのだろうか?
あたしは納得できない気持ちで、咲子さんの写真を見つめたのだった。



