きっと咲子さんの母親だろう。


その姿を見た瞬間、あたしは何と言えばいいものかわからなくなってしまった。


死んだ咲子さんについて聞きたいことがあるなんて言って、すんなり教えてくれるだろうか。


「あなた、坪井高校の生徒さん?」


あたしの制服姿を見て、女性がそう声をかけて来た。


「そ、そうです。あたしたち3人とも坪井高校の生徒です」


「あらそうなの。制服は昔からあまり変わってないのね」


女性はそう言うと懐かしそうにほほ笑んだ。


その笑みにひとまず安堵する。


「坪井高校の生徒さんたちが、うちになにか用事?」


「あ、あの……実は先生から咲子さんのことを聞いたんです。それで、昔同じ学校の生徒さんでそんなことがあったんだと思ったら、いてもたってもいられなくて……」


あたしはそこまで言って口をつぐんだ。


女性が今にも泣きだしてしまいそうな顔になったからだ。