「もう1度、先生に聞いてみようか」


そう言ったのは一穂だった。


「先生に? でも、先生たちはなにも知らなかっただろ」


充弘が答える。


たしかに、以前先生に質問した時はなにも得られなかった。


ただ、エレベーターに近づかないように注意されただけだ。


「もっと昔からいる先生に聞くんだよ。事務の先生でいるだろ?」


そう言われて思い出したのは事務の清田先生だった。


60代目前の清田先生は20代のころから坪井高校で働いていると聞いたことがあった。


「清田先生が教えてくれるかな……」


あたしは不安を押し殺すことができなくてそう呟いた。


先生は生徒たちがエレベーターに近づかないようにするため、妙な話を口走ったりはしない。


まだ学校の七不思議の方が情報を得られそうな気がした。