入院当日、病院迄の車の中で母から話しかけられた。


「とうとうこの日が来たわね。入院…何だかあっという間だったね。きっとあっという間に退院よ」

「うん、短かったかも。私も何だか色々スッキリしたかな。
お母さんクラスの打ち上げの後、急に大人数で泊まるの許してくれて、ありがと。
やっぱり伝えた方がいいと思ってクラスの打ち上げで、友達に言ったらそのまま何故か家に泊まりに来る事になるなんて、思わなかったから……クラスに部活の子達も居たから、部活の子まで呼んで増えちゃったし。いきなりで大変だったよね」

「まあ、布団は雑魚寝になっちゃったけど、どうにかなったから良かったわ。
晩御飯も要らなかったしね。別に何もしてないわよ。
嬉しい事に、泊まった子達のお母さん達が果物やお菓子それに、朝食用の高級食パン持ってきてくれたじゃない!あれ美味しかったわ~噂には聞いてたけど、なかなか買うの躊躇ってたのよね。
それに文化祭の後は、休みも入るから結局学校には2日しか行けないじゃない。友達とゆっくり話せる時間が出来たのなら良かったわ」

「食パンかぁ~前日焼肉食べ過ぎて、食パンの味堪能できなかったけど、しっとりふわふわで耳まで美味しかったよね~嫌!耳が美味しかった。退院したら又家で食べたいな~
私ね、病気の事言ってよかったよ。皆んなも気軽に接してくれたから、嬉しかったんだ。大人数でのお泊まり会も修学旅行みたいで楽しかったよ」

「良かったね。病気になった事も悪い事ばかりじゃなかったわね」

「うん、病気になって良い事もあったよ。手術も頑張ってみる。私は寝てるだけ、頑張るのはお医者さん達だけどね」

「乃蒼、着いたら先ずは検査をして回るからね」

「了解」


私は、それから病院に着くまでの間、五十嵐君からのLINEに入っている写真を眺めていた。

 あの後、落ち着くと凄く恥ずかしくなって、五十嵐君とLINE交換して走って帰ったの。告白なんてされた事なかったし、男の子と付き合った事も無かったから、どう対処したら良いのか分からなかった。どうしたら良かったのかな?

 五十嵐君からLINEがきて、綺麗な夕焼けの写真が……あの後の屋上からの写真だと思う。


(毎日一枚、俺のお気に入りの写真送るね。)


との言葉と一緒に。