机に肘をついて、
ぼーっとしている延長のふりして、
隣の席の田所さんを見つめる。
三時間目の英語の時間。
先生の声と、チョークが黒板をこする音。
ぽかぽか陽気の外の空。
田所さんは、
真剣な顔してノートを取っている。
田所唯さんは、
大人しくて、
そんな目立つ子じゃないけど。
よく見ると、目とかパッチリしていて。
プルっとした唇も、
肩につかないくらいのサラサラの黒髪も
やばい。
ずっと見ていられるんだけど。
チラ。
田所さんの手元を見ると
一生懸命書いていると思ったら、
落書きかよ。
犬?
下手。
マジ、かわいいんだけど。
こんな天然で独特な感じのとこも、
面白いし。
背なんか低くて、
体育とか、チョコマカって
擬音がぴったりなくらいの走りで
運動できなさそうなとこも、田所さんだと
かわいくて、
すぐ真っ赤になるとこも。
人の悪口なんか言わないっていうか
思いつかないみたいなとことか。
基本、いつもニコニコしていて、
みんなに可愛がられているとこも。
全部好きなんだけど。