皆がそれぞれ手持ちの花火の先をろうそくの火にやった。一斉に火の粉があがり、辺りが明るくなる。オレンジや黄色青色や紫。色鮮やかな火がそれぞれの華をさかせていく。火花の先から上がった煙が上へ上へと昇って行った。
「キャー!ステキ!」とエリナが声を上げ
「花火なんて何年ぶりかしら」とイチも楽しそうに花火を持っている。
「やっぱりイチさんが持つ花火はきれい」とリコがイチの方に目を向けている。イチが持っていたのは少し派手目の火花を散らしながらその火花は地面の砂に吸収されていく。
確かに、イチは何をやっても絵になるよな。風呂上りだからだろうか、ショーパンにシンプルなTシャツ姿なのに、まるでパリコレに居る気分だ。
花火をする女優イチはそんじょそこいらのアイドルよりきれい。
「ほら、朔羅も。これきれいよ」とイチがあたしに同じ花火に火がついたものを手渡してくれた。
戒とキモ金髪は子供のように花火をぐるぐる回して走り回っている。ガキなんだか大人なんだか。
「やっぱさぁ、似てるよね。イチさんと朔羅って」とリコが言い出し
「あ、ありえねぇねって!こんな美人と!」と思わず口にする。さっきもスーパーで見知らぬ男から姉妹と間違えられたけど第一イチが気を悪くするだろ。こんな色気も華もねぇあたしなんかと比べられたら。
でもイチは否定せず
「あらそう?」とにっこり笑顔。
「ね、キョウスケ。あたしたち似てるって」と隣で割と大人しめの花火をもくもくと腰を落として火花を見つめていたキョウスケが目を細めて
「全然似とらへん」と低く一言。
やっぱそーだよなぁ。キョウスケにとってイチは彼女であるわけだし、こんながさつで色気のないあたしと比べられるのは……
「お嬢はあんたみたいに我儘言わへんし、素直だし、意外と真面目」
おい!”意外”とは何だ”意外”とは!とツッコミたかったけれど、あれ?イチの味方しないんだ。
「ちょっとぉ。何よあたしが我儘で素直じゃなくて真面目じゃないって!」とイチがキーっと声を上げる。
「もうあんたの花火終わっとるやん。こっちの使ったら?」とキョウスケが自分の花火をイチに手渡していて、いっときどうなるかと思ったが、キョウスケも”意外”に優しいとこあるじゃん。
まぁ元々あたしには優しかったけど。
「なぁなぁ皆で写真撮ろうぜ!想い出の一枚」と言って戒が言い出し、いつの間にかキモ金髪が一眼レフ用のカメラの三脚を砂場に立てていて、それをセットしていた。
「写真!わぁいいね」とエリナが笑って、リコの腕に自分の手を絡ませる。
「ほらっサクラも」と呼ばれてあたしたちは花火を持ったまま横一列。あたしのすぐ隣に戒が走ってきて、ちょっと離れた場所でキョウスケとイチが。千里はエリナの隣にぎこちなく突っ立ている。
「それじゃ入り切りませんよ~もっとくっついて」とカメラを覗き込んでいたキモ金髪が言い出し、キョウスケとイチがしぶしぶと言った感じで距離を詰めてきた。
「じゃぁ行きますよ~」タイマーセットにしたのかキモ金髪が走ってきてリコの隣にぎゅっと並ぶ。
みんなピースサインや今流行りのポーズをそれぞれ作ってパシャッ!カメラのシャッターが鳴った。



