「え!?あのタチバナ警視の!?」と警察官はメモを取るのも忘れて目を見開いた。
警視―――って、相当な立場なんじゃないの!!!?しかも地元の警官も知ってるぐらいだからかなり有名なんだろう。
あいつ、筋者じゃない、でもただ者でないと思ってたけどまさかの刑事!!!?
戒は何でそんなこと知ってたの!?
「ね、ねぇねぇタチバナって前ファミレスでえ会った人?」とリコが腕を引っ張ってきて「アヤメって女の人の共同経営者って言ってなかった?警察官って副業禁止だよね」とリコがこそっと聞いてきて
「どーりで、どっかで見た顔だと思った」と千里も目をぱちぱち。
つまりはアヤメさんも警察官?
何でクラブの経営者とか嘘ついたんだよ!
でも戒は知ってた。今すぐ色々問いただしたいが、そんな空気ではない。
「分かりました。早急に連絡して後日タチバナ警視からお話を」
「ああ、そうしてくれ」と戒は鬱陶しいものを払うように手を振っていたけど
「おい!タチバナがデカってお前何で知ってたんだよ!」
あたしは戒の手の取ってこそっと耳打ち。
戒は視線を泳がせ
「はは…まぁ~なりゆきでぇ?」と教えてくれない。
てか、叔父貴も知ってたってことだよな。同級だって言ってたし。
叔父貴!!何で教えてくれなかったんだよぉ!!……って、まぁあたしが叔父貴にタチバナのこと聞かなかったから教えてくれなくても当然かぁ。
突然脱獄囚に襲われて、タチバナはデカだったし。目の前がぐるぐるしそうでぶったおれそうだぜ。
その後、脱獄犯は警察官によって連れていかれ平和が訪れるかと思いきや、あたしだけが事態についていけない。
「朔羅と龍崎くんが一緒だと何かと事件が起こるよね」とリコが呆れたようにため息。
「そうだよな、ごめんこんなことになっちまって、せっかく楽しみにしてた旅行だったのに」とリコとエリナに謝ると
「朔羅のせいじゃないよ。龍崎くんのせいでもないし。運が悪かっただけ」と優しいエリナはぎこちなく笑顔を浮かべている。
一方のイチは顔色を真っ青にしてキョウスケにしがみついている。
事件があったことがよっぽど怖かったのか、尋常じゃないぐらいだ。今にも倒れそう。
「あのイチさん……大丈夫ですか…?」とおずおずと声を掛けると
「……大丈夫よ、ちょっと動揺しただけ」と弱弱しい返事が返ってきた。それでも脚はがくがく震えてるし腕には鳥肌が立っている。
「とりあえずソファに座って何か温かいものを」とソファのクッションをどかそうとしているあたしに
「さ~くら~♪」と能天気な戒の声があたしの頭上から降ってきた。
何だよ、今は色々考えるのが面倒なんだよ。とうつろな目を向けると
「ほれ♪これ皆でやろーぜ」とさっき買った花火セットを手でふりふり。
え………



