。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。


「だ、ダメじゃないけど服着たままだと溺れるよ」と眉を寄せると


「だーいじょうぶだって、アメリカの学校にいたときもっと重い戦闘服着ながら遠泳とかしたし、こー見えて俺泳ぎ得意だし」


いや、こー見えなくても得意そうだけど。


戒には苦手分野なさそうだし。


あ、一つ…てか二つ?あった。高い所と料理。


「流石に海パンとかはな~…背中の紋ばっちり見えるだろうし、今は居ないけどいつ人くるか分かんねぇし。ま、かと言ってこの下タンクトップ着てねぇから透けて見えりゃ意味ないけどな」戒はシャツの襟を持って胸元を覗き苦笑い。でもすぐに


「せっかく海に来たのに、一泳ぎもできねぇなんて意味ないじゃん?」と人懐っこい笑顔を浮かべて聞いてきて、あたしはぎこちなく頷いた。


あたしが何も答えないでいると


「一緒に泳ぎに行く?」と戒が上目で提案してきた。


あたしは慌てて首を横に振る。


正直、泳ぎは得意ではない。カナヅチと言う程でもないけれど自信はない。


小さい頃は千里のおばちゃんが千里と一緒に都営のプールに連れてってくれたけど、子供用の水深の浅いものだったし。それを考えると底が見えなくて黒い海は恐怖そのものしかない。


昼間、リコたちと水遊びをした際も水際でバシャバシャしてた程度だ。


「今からまた水着に着替えるのとか面倒だし…」何とか言い訳を考えてもそもそ言うと


「なん、朔羅、海苦手?」戒は意地悪く笑ったけれどあたしはそれに素直に頷いた。


ブスリ、としていて可愛げがなかったと思う。


それでも戒は


あたしの手を取ると


「じゃぁ俺が抱っこしてってやるよ。それなら怖くないだろ?」


戒の無邪気な提案に目を開いていると、戒はあたしの答えを聞く前にあたしの手を引き漣が打ち付ける波打ち際まで歩いた。


「ちょっ!水着っ」と抗議するも


「そのままで大丈夫だって。どうせ洗濯するだろ?」


ま、まぁ洗濯はするけど。


あたしは戒に手を引かれたまま、その後をついていく。


拒否することも可能だったけれど、


戒が抱っこしてくれるって言ってくれた。戒が居れば安心。


その気持ちの方が勝った。