「そう………昔から…」 そう小さく囁かれた言葉はコウに聞き取られることはなかった。 「刹那…姫様の気配が消えたということは、もしかすると…」 「ああ、多分な。何者かによって連れ去られた。くりすは必ずこの世界に連れてこられるはずだ。…行くぞ、コウ」 「はい。主の申すままに」 月夜の中、二人は月の光のみに照らされ、この場を去った―……