そうして、俺は一人、忠晴のいるダイニングへと向かう。

昼飯を作ってもらって、食べ終わる頃に親父やなずな達がみんな揃って戻ってきた。



「では社長、これで失礼します」

「いつもすまないな」

「いいえ」



親父と菩提さんは廊下のここから見える場所で立ち話をしている。

これは、今すぐ一緒に来た人と帰る雰囲気だ。



そして、菩提さんはなずなに一言声を掛ける。



「…じゃあ、なずな。これから哲太を送って依頼回ってくる。夜9時には迎えに来るから準備しといて」

「ほーい」



夜9時に…迎え?



「なずなさん、夜にはここを出ていかれるのですか?」

「うん。明日急に依頼入ったしね。お世話になりました」

「では夕食一緒に出来ますね。なずなさんの好きなステーキ焼きましょう」

「おおぉぉ!」



忠晴となずなの会話を耳にして、なぜか胸に痛みを感じてしまう。



…あぁ、そうか。

任務終了したから、本当に帰っちゃうんだな。



(………)



何でだろうか。

とても居たたまれない気持ちになってしまって。



俺は、そっと席を立ち一人、部屋に戻っていた。