★★★








「じゃあ、ボス。臨時ボーナス楽しみにしてまっせ?…いひひ」

「この件、トータルで見たら減俸レベルだけど?クライアントに負担かけすぎだ」

「えっ…」



自分で話を吹っ掛けたくせに、逆にやられてずーんと落ち込んでしまった。

返り討ち…。

というか、この直後でギャラの話吹っ掛けるとかどういう神経してんだおまえ。




「じゃあ、戻りましょうか」



ずーんと落ち込むなずなはさておき。

菩提さんは、床に刺してあった二つの短剣を同時に抜く。

鞘に収めて懐にしまっていると、このホールのドアがバタン!と開いた。



「開いた!…伶士!…美織!」

「あなたっ…!」



その姿を見せると、母さんは俺の傍から離れ、一目散に駆け寄っていく。

俺としては…今は会いたくなかった。

親父…。



「あなたっ!倫子さんが…倫子さんが行ってしまいました…!」

「…そんなことよりおまえぇぇっ!忠晴から聞いてるぞ!…なぜ中に入った?入れた?…中は危ないとわかっているだろが!」