★★★











…これは、本能と言ってもいいのだろうか。



理性がまったく利かないんだ。



ただ…ただ、行かなくちゃいけないと思ってしまった。



(………)



タクシーから降りて、フラッとホテルのエントランスに向かう。

…そう言えば、タクシーのお金払ってない。

運転手さんも、請求してこなかった。



おかしい。



この一連の流れ、普段なら疑問に思うことが、いっぱい存在しているのに。

なぜか、少しも気に止めなかった。




中は、煌びやかな装飾、照明が華やかで。

パーティーだからか、着飾った大人たちとたくさんすれ違う。



けど、何も気に止めず。

ただ足を進めた。



行き先は?

わからないはずなのに。

でも、わかっているかのように、そのわからない何処かへと向かった。



そして、とある一室の前で足が止まる。



そこは、本日使われていない、イベントボールだった。

躊躇することなく、その扉をゆっくりと開ける。




「…よく来たね?」