みなまで言うなって、まあ、言いたいことはありますけどね。
……さちこさんは、どんな人なんですか?
と思いながら、羽未が何処へ行くともなく歩いていた頃、帯刀は羽未にもらった小袋を手に、まだ渡り廊下に立っていた。
お金はもらうつもりはなかったのだが、両手でこの袋をつかんで差し出してくる羽未が可愛かったので、うっかり袋だけもらってしまった……と帯刀は思う。
さっき、
「あの、
シロ……上杉課長のことなんですが」
と言ったあと、羽未はなにか言葉を呑み込むように間《ま》を空けた。
そして、自分の後ろを見つめて、遠い目をしたあと、なにかを誤魔化すように、
「あ、すみません。
幼なじみということは伏せておいてください」
と言ってきた。
みなまで言うな、羽未。
わかっている。



