二人に車に押し込まれた帯刀は遠ざかっていく羽未の家と士郎の家の玄関の灯りを見ていたが。
角を曲がり、大通りに出て、それらが見えなくなったところで、小さく呟く。
「……そうか、わかったぞ」
羽未が聞いていたら、
「なっ、なにがですかっ?
なにもわかってなさそうな予感がしますよっ?」
と叫びながら、腕組みし、ひとり頷く帯刀の腕をつかんで揺さぶるところだったのだろうが。
その頃の羽未は、士郎と自分の家族の会話に機械的に頷いては笑っていた。
課長、ちゃんと帰ったかな~。
そういえば、タクシー代も出してもらっちゃったな、明日払おう、と思いながら。



