職場の呑み会で、遠目に春成帯刀(はるな たてわき)を眺めながら、先輩たちの話を聞き、モヒートなど呑んでいたところから記憶が飛んで、今、此処だ。

 あまり物がなく、シンプルでセンスのいい寝室。

 春成帯刀の自宅だった。

 ……まずい、と横で眠っている帯刀を見下ろし、羽未(うみ)は焦る。

 今にも起き上がり、なにか叱ってきそうだ。

 課長となにかあったなんて、課長に知られたくないっ!

 夢だと思っていただこうっ。

 羽未は証拠隠滅に走ることにした。

 急いで服を着、整えすぎない程度にベッドを整える。

 そのとき、帯刀の顔が間近に見えた。

 ……美しいな。

 殴りたくなるほど。

 男の人の綺麗な人って、本当に綺麗だよな。

 化粧もしてないのに、とちょっと女として落ち込みながらも、羽未はせっせと帰り支度をした。

 なにか自分の物を落としていないか、鞄とベッドの周辺をぐるぐる回り、確認する。

 よしっ!

 あ、でも、このまま私が出て行って、課長が強盗に殺されたらどうしよう、と羽未は玄関まで鍵を確認に行った。