「他の女子たちも混ざって、和気藹々(わきあいあい)と楽しそうだったのがうらやましかったんだ」
と言う帯刀に、

「……他の女子たちと和気藹々したかったんですか?」
と訊いたが、帯刀は赤くなり、莫迦、と言う。

「お前としたいのに決まってるだろう」

 いやいや。
 なんですか、この人は。

 照れるではないですか……。

「じゃ、じゃあ、今日帰ったら教えてあげますよ」
と言うと、わかった、と帯刀は頷く。

 ……どうしよう。
 今、課長を可愛いと思ってしまった。

 っていうか、課長に教えてあげますよとか、私、偉そうではないだろうかと不安になってしまう。

 まだまだ、ぎこちない夫婦だからだ。

「そ、そういえば、この渡り廊下の倉庫。
 最初に課長に連れ込まれたところですよね」

「そうだな」
と帯刀が思い出したように笑う。

「課長をA4の紙の束でしとめようと思ったのも、今ではいい思い出です」
と羽未も笑ったが、

「……そうだったのか」
と言われてしまった。

 ……いい思い出に、今、まさに泥を塗ってしまったようだと思いながら、羽未は慌てて言う。