「……どうしたんですか?」
と本人そんなつもりはないのだろうが、不審な行動をとっているように見える帯刀に訊くと、

「いや、上杉が居ないか、確認してたんだ」
と言う。

「今、居ませんよ。
 何処かでお茶でもしてるんじゃないですか?」
とリラクゼーションルームを振り返りながら言うと、

「そうか、ならいい」
と言った帯刀は更に手招きをし、羽未を導く。

 渡り廊下の例の倉庫に羽未を連れ込むと言った。

「羽未、頭を貸せ」

「……何故ですか」

「俺もフィッシュボーンができるようになりたい」

「何故ですか……」

「いや、なにか今のままだと上杉に負けている気がして」
と帯刀は言い出す。

 いや、おかしなところで張り合わないでください、と思ったのだが。

「さっき、お前、社食でまた上杉に髪を編まれてたろ」

「いや、前に落ちてきて鬱陶しいって言われたんですよ、シロさんに」