縁起がいいんだか悪いんだかよくわからない真っ白なチャペルに羽未(うみ)は居た。

 招待客が座るベンチは白と緑の草花で彩られ、祭壇の向こうにある大きなアーチ型の窓からはポスターか? とツッコミたくなるくらい完璧に美しい青い海と空が窺える。

 夢のような光景だが、横で父親がすすり泣いているから、現実なのだろうな、と今、まさにバージンロードを歩こうとしている羽未は思っていた。

 この道の先に課長が居る……。

 えーっ?
 やっぱりこれ、夢なんじゃないんですかね?

 黒のタキシードも凛々しい帯刀を見ながら、羽未は改めてそう思う。