……秘密があります

 お、逆行して初々しくなった奴が、と思い見ていると、士郎は、照れながら帯刀に答えようとした羽未の後ろで足を止め、いきなりその髪を小器用に編み始めた。

 なにっ? と振り返った羽未に、士郎は無言でゴムを要求する。

 羽未が手首から外して渡すと、士郎は編んだ後ろの髪を指でつつき、

「フィッシュボーン……」
と呟き、行ってしまった。

 なにっ?
と羽未がもう一度叫んで、おのれの髪を手で触り、帯刀が羽未の後ろに回り込んで、確認していた。

「見事なフィッシュボーンですね。
 上杉課長、意外な特技が……」

「そういえば、羽未は高校のとき、あの髪型だったらしいですよ」
と和花たちが言う。

 ふうん、と言いながら、こちらに来る士郎を見ていたが、彼は自分たちには、まったく気づかずにそのまま行ってしまった……。