次の日、芳賀(はが)が廊下を歩いていると、和花たちが後ろから声をかけてきた。 「芳賀さん。 今日呑みに行きませんか?」 「ああ、いいよ」 と言いかけて、しっ、と口許に指先を当てる。 壁に張り付いて渡り廊下の方を見た。 「待って。 帯刀が羽未ちゃんを口説いてるから」 えっ、と言って、みんなも壁に張り付き、そちらを見た。 人気のない渡り廊下で、帯刀が羽未を見下ろし言っている。 「羽未。 結婚式も結納も決まったんだ。 いいだろう?」 みんなゴクリと唾を呑み込み、次の言葉を待つ。