……秘密があります

 そのまま二人で黙っていたが、一向にワインは効いてこない。

「もう一杯呑むか」

「はい」

 帯刀は立ち上がり、今度は瓶ごとワインを持ってきた。

 ふたりで一杯呑んでは沈黙する。
 まるで薬かなにかが効くのを待つ人のように。

「あのとき……なんで酔ったんだろうな」

 二人とも元々酒は強かった。

 特に今は緊張状態にあるのでまったく酔わないようだ。

「ちゃんぽんにしたからかもしれませんよ」

「そうだな。
 ちょっと買い出しに行くか」
と帯刀がまた立ち上がったので、一緒にコンビニに行って、ビールとチューハイを買ってきた。

「……これも行ってみるか」
と帯刀は泡盛を見つめていた。

 いろいろ買って、マンションに戻る。
 エレベーターの中で羽未は思っていた。

 キスもどきどきするけど。
 二人でコンビニで買物して、マンションに戻るとか。

 それもまたどきどきするな、と。

 なにか新婚夫婦みたいではないですか。
 そう思っていた。