……秘密があります

「大丈夫だ。
 なにもしない」

 こちらを振り返らずに、ドアを開けながら、帯刀が言う。

 な、なにもしないことはないですよねっ、と羽未はまた踏ん張る。

 帯刀は手を離して振り返り、また、ひょいと羽未を抱えた。

 そのままお姫様抱っこをして、羽未を寝室に運び込み、ベッドを見て、壁際にあるソファを見て、ベッドを見た。

 何処に降ろすか迷っているようだ。

 だが、帯刀は、羽未をそっとソファに降ろしてくれた。

 自分も側に腰掛ける。

 一応、二人がけのようなのだが、とても狭く、腰が当たるくらい近い。

「……なにか飲むか」

 連れてきておいて、間が持てなくなったらしい帯刀が言ってきた。

「あ、はい」
と羽未が言うと、帯刀は立ち上がり、ワイングラスに入ったワインをふたつ持ってきた。

 緊張で喉が乾いていたので、一気呑みしてしまう。

 振り返ると、帯刀も一気呑みしていた。