頼もう!
「失礼します!山吹先輩」
「お。来たか、疾風!」
空手部の道場に顔出した疾風に、同じ近所の道場に通う山吹は微笑んだ。
「うちの部に入ってくれるんだろう?」
「いやそれが、いろんな事情があって」
疾風は今まで通り近所の道場には通うが、うらら学園の部活には入らないと謝った。
「なんでだよ!一緒にやるって言ったじゃないか」
「すいません。本当に残念ですが」
「おいおい、どうした?なんだって」
3年のいかつい胴着姿の雨水部長はそう言って疾風と山吹を見下ろした。
「部長、こいつ超強いんで期待していたんですけど、なんか部活は入れないって」
「すいません」
「……お前、他の部に入るのか?」
「まだ決めてませんが、自分はたぶん、生物部に入ることになりそうです」
「生物部って、お前は草と戦うのか。そうか……」
しかし、雨水はじっと疾風を見つめた。
「ダメだ。うちに入れ」