ごめん。ぜんぶ、恋だった。




放課後。俺はなぜか志乃と駅前の本屋にいた。

「あのさ、俺、忙しいんだけど」

今日は早く帰って仁菜のことを待つ予定なのに、志乃が文具コーナーで足を止めてから、すでに20分が経っている。 

「えーいいじゃん。柊、女遊びやめて暇なんだし」

「だから今日は暇じゃねーんだよ。つか、お前がやめろって言ったんだろ」

「どうせやめる気だったくせに」


なんでこうも志乃には色々と見透かされているのか。


たしかに志乃に言われなくても女関係は切るつもりでいた。志乃の言うとおり意味がないと感じていたし、勉強にも本腰を入れる時期だと思っていたから。


「ねえ、どっちがいいかな?」

志乃はピンク色と青色のノートを指さした。

自分で選べないのは、いつものこと。優柔不断な志乃はいつも俺に意見を求めてくる。


「迷うってことは、欲しくないってことだよ」

「もう柊ってば、いつもそればっかり!」

ぶつぶつと文句を言いながら、志乃は迷いに迷って青色のノートを買っていた。

どっちも欲しいから迷うと言う志乃の気持ちがわからないように、迷う時点でどっちも欲しいものじゃないと言う俺の気持ちを志乃はちっとも理解できないようだ。


俺は欲しいと思ったものは、なにがなんでも欲しいし、他のものは目に入らない。


誰かに取られたくない。

なにかを壊しても自分のものにしたい。

それを恋と呼ぶにはあまりに自分よがりで。俺が一番嫌いだった好意の押し付け似ている。


……やっぱりこれは、執着なのか。

自分でもまだ答えが出せないでいた。