ごめん。ぜんぶ、恋だった。



中学の時は陸上部に入っていて肌も黒かったし、おまけにジャージを着ていると本当に同級生の男子と変わらない見た目をしていた。

でも今は肌も白く、服のセンスはダサいけどジャージで外を歩くことはなくなった。


「とりあえずお父さんの誕生日パーティーは絶対やるんだから、その日は予定入れないでよね」

「んー」

ぼそりと返事をしながら、玄関のドアを開ける。正面の門扉の前に立っていたのは、幼なじみの志乃だった。


「ふたりとも、おはよう」

「志乃ちゃん、おはよう!」  

志乃に会って、さらにご機嫌になった仁菜が玄関から続く平石の上を跳ねるようにして歩いていた。


境井(さかい)志乃とは生まれた時から一緒だから、かれこれ18年くらいの付き合いになる。

気の知れた仲だし、幼稚園、小学校、中学校、そして現在の高校三年までずっと隣にいるから、志乃のことはなんでも知っている。


「柊は今日も眠そうだね」

志乃はクスリと笑って俺の顔を覗きこんでいた。


志乃の家はこの住宅地より、一本向こう側の道沿いにある。目と鼻の先にある歩道橋を渡ってしまえば中学も高校も志乃の家からのほうが近いのに、毎朝こうして迎えにくる。


「仁菜子ちゃん、学校には慣れてきた?」

「うん。でも東校舎には行ったことがないんだ」

「あー向こうは選択授業で使う教室が多いから2年生になれば嫌でも行くようになるよ」

「へえ、そうなんだ!」

登校中、ふたりの会話はいつも途切れることはない。そんな話し声に相づちを打つことなく、俺は一歩下がって歩く。