ごめん。ぜんぶ、恋だった。



「柊ってさ、執着と恋を履き違えるタイプだよね」

マンションの一室。逆ナンされたことで知り合った大学生の彼女は、ベッドの上で甘いタバコを吸っていた。


まっすぐ家に帰りたくないと思っていたところにメッセージが送られてきて、俺はまた無意味に肌を重ねてしまった。


「好きな人が自分から離れていくのが寂しいだけなのか、それが恋なのかなんなのか、柊もきちんとわかっていないんでしょ?」

恋愛経験豊富な彼女は、とても的を得たことを言っていた。

血が繋がってないとはいえ、妹に想いを寄せていることは誰にも話していないというのに。


「好きになっちゃいけない人を好きになったことあんの?」

「当たり前じゃん。私今、ひと回り歳が離れた人と付き合ってるんだよ?そこは察してよ」

「そんなの、知らねーし」

「柊って本当に生意気だよね。まあ、生意気なりにもがいてみれば。それで執着なのか恋なのかわかる時が来たらいいね」


蛇のように巻きついてくる甘ったるいタバコの匂いのおかげで俺は忘れかけていたことに気づいて、帰りはコンビニでアイスを買った。


とっくに家に帰っていた仁菜は「遅い!」とふて腐れた。

同じ味のアイスをソファで食べながら、仁菜は帰り道を速水に送ってもらったと言っていた。

スマホには速水からのメッセージが届いている。

これは、ただの執着なのか。

バニラ味のアイスが、とても苦く感じた。