想いが芽生えた大きなきっかけはなかったように思う。
親の都合で家族が増えて妹ができて、俺は兄になった。
最初は懐いてすり寄ってきてくれて嬉しいと思うだけで、手を繋いでいてもちゃんと家族として接することができていた時期もある。
でもお互いに成長して、周りでは色恋の話も多くなって。
『どんな人がタイプ?』
『どんな人と付き合いたい?』
そんなことを聞かれてもなにも浮かばなかった俺が『じゃあ、どんな女の子を可愛いと思う?』と尋ねられた時に、まっさきに仁菜のことが頭に浮かんだ。
どんくさくて、目が離せなくて、焦れったいことばかりだけど、ずっと見ていられる。
兄妹のいない環境で育ってきたので、妹に対してはこんな感じなのかなと自分でもおかしいと思うことはなかった。
でも同級生の兄妹を見たり、話を聞いたりするうち、だんだんと仁菜に抱いている感情は妹としてだけではないことに気づきはじめた。
それがたしか、13歳くらいの時だ。
中学に入学して、色んな人に告白されて『付き合えない』と断るたびに、仁菜への気持ちを自覚していった。
それがダメなことだとわかる年齢だったし、自分の感覚がおかしいということも理解していた。
だから誰とも付き合わない代わりに、肌だけは重ねた。
そこからなにか生まれるかもしれないと期待していたし、あわよくば好きな人ができたらいいなと思っていた。
結果として、好きになれた人はいなかった。
早くこんな気持ちなんて消えてほしいのに、消えない。
仁菜への想いは増えていく。
湧いてくる。
溺れそうになるほどに。



