ごめん。ぜんぶ、恋だった。



今まで怒っていても口を尖らせてふて腐れるだけだったのに、たまにこうして大人みたいな顔をする時がある。

「……わかったよ」

今までの強気はどこへやら。俺はこういう瞳をした仁菜には弱い。自分が知っている仁菜ではないような気がして。


「じゃあ、許してあげるから今度遊園地に連れていってよ。もちろん志乃ちゃんも一緒に」

仁菜は昔から遊園地が好きだ。

四人家族になって、初めて出掛けたのも遊園地だった。泣き虫なくせに絶叫系だけは得意で、俺は連れ回された挙げ句に気分が悪くなるのは毎回のことだ。


「絶対に嫌だ」

「えー久しぶりに行こうよ」

「そんなに俺のゲロが見たいのかよ」

「もう、汚いこと言わないでよ」

気持ちの切り替えが早い仁菜はもうケタケタと笑っている。


「じゃあ、いつものアイスでいいよ。今日の帰りにコンビニで買ってきてよね」

「一緒に寄って買えばいいだろ」

「無理。私、今日委員会で残らなきゃいけないし」

「水曜日じゃないだろ」

「色々と覚えなきゃいけないことがあるんだって」

委員会で残るということは、また速水も一緒だろう。


「……お兄ちゃん、どうしたの?」

ぼんやりとしている俺のことを仁菜がきょとんとした顔で見ていた。