ごめん。ぜんぶ、恋だった。



情報処理の授業が終わったあと、志乃は友達と教室に向かい、俺は食堂の前にある自販機を目指していた。

苛立つのはカルシウム不足のせいだと思い、迷わずに紙パックの牛乳を買う。ストローで飲みながら階段を上がっていると、ぐいっと誰かに腕を掴まれた。


「ちょっと、来て」

俺は引っ張られるようにして、掃除用具などが置かれている階段下の死角へと移動させられた。


「なんだよ」

腕が解放されたタイミングで、仁菜に言葉を投げた。


「さっきのはなんなの?先輩だからって、私のクラスメイトたちに偉そうにしないでよ」

どうやらまだ『邪魔』と睨みつけたことを怒っているようだ。 


「あんなところで地べたに座ってるほうが悪いんだろ」

「だからって……」

「どうせ行ったことがない東校舎を見に行こうってなって。それで帰りに上級生が行き来する場所で、ちょっと目立ってやろうっていうバカがチャイム鳴るまでここで話そうとか言い出して、お前も流された感じだろ」

有無を言わせぬ勢いで喋ると、仁菜は図星を突かれたようにして黙ってしまった。


「でも、ああやって睨むことはもうしないで」

仁菜は少し大人びた口調で、強い瞳をした。