中間テストも無事に終わって日曜日を迎えた。
「お兄ちゃん、早く!」
どこに行くのかまだ伝えていないというのに、仁菜は張り切って玄関で待っている。
「けっこう歩くからスニーカーにしろよ」
「もう履いてるよ」
仁菜はキャップを被り、Tシャツにショートパンツとカジュアルな服装だった。
あと二週間もすれば7月なので、外は半袖でちょうどいい。
この前まで桜が舞っていたのに、もう夏の匂いがする。土の中で眠っているセミたちもそろそろ目を覚ます頃だろう。
目的地までは電車で一時間ほど。乗り換えはないので快速でずっと座っていることができた。
「あ、ここって……」
電車を下りて改札口を抜けると、建物の間から観覧車の上部が見えていた。
周りの人たちもぞろぞろとその場所へと足を進めている。
「お前、行きたいって言ってたじゃん」
それは遊園地だった。
遊園地は子供の時に訪れた時となにも変わっていない。受付で入場券を買って正面ゲートをくぐると、あちこちで楽しそうな声があふれていた。
「どうしよう、もう楽しいよ!お兄ちゃん……!」
16歳になった仁菜はとても綺麗になったけれど、こうして目を輝かせていると、まだ幼さも残っている。



