私はそのあと、揚げてのドーナツを行儀悪く口にくわえたまま部屋に向かう。
帰り道は速水くんのことばかりを考えていたのに、今はお兄ちゃんのことで頭がいっぱいになっている。
お兄ちゃんが帰ってこなくなってから連絡はしていない。当然向こうからもこない。
お母さんは心配で電話をかけたりしてるみたいだけど、すぐに留守電になって、代わりに【大丈夫だから】というメッセージしか送られてこないようだ。
お兄ちゃんが信用されているとはいえ、何日も外泊が許されるわけがない。
お父さんも心配してるし、お母さんだって気を紛らわすためのドーナツ作りだったんじゃないかって思う。
私はベッドに座って、スマホの画面をじっと見つめた。たぶん10分くらいはそうしてた。
わからないことも、モヤモヤしてることも、ぜんぶお兄ちゃんのせい。
お兄ちゃんのせいだから……。
お兄ちゃんにどうにかしてもらうしかないじゃないか。
……プルル、プルル。
気づくと私はお兄ちゃんへと繋がる番号に電話をかけていた。



