ごめん。ぜんぶ、恋だった。



驚きと恥ずかしさでいっぱいになったけれど、それと同時に自分だけでは見ることができない高い景色に圧倒された。


「入れていいよ」

「う、うん」

ボールをゴールネットに入れると、リングがゆらゆらと揺れた。ネットをこんなに間近で見るのも、リングに触ったのも初めてだ。

ボールが床に落下すると、速水くんはゆっくり私のことも下ろしてくれた。


「ありがとう。でも私、重かったでしょ?」

「いや、全っ然。むしろ軽すぎてビックリしたよ」

それはさすがにないと思いつつ、私のことを簡単に持ち上げてしまうなんて……速水くんは男の子だなって強く実感した。


速水くんが体育館に連れてきてくれた理由には気づいている。

私がずっと暗い顔ばかりをしてるから元気づけようとしてくれたのだと思う。


「速水くんって、本当にいい人だよね」

私は言葉を知らないからそれ以上の表現は思いつかないけれど、いい人よりも、もっともっと速水くんは優しくて暖かい人だ。


「なんか、あんまり嬉しくないな」

褒めたつもりだったのに、速水くんは複雑な顔をしていた。


「俺はいい人だけで終わりたくないよ。この意味わかる?」

私は素直に首を横に振った。


「付き合ってるふりじゃなくて、いつか本当に付き合えたらいいなってこと。こんな告白はなし、かな?」

あまりに速水くんが私のことをまっすぐに見るから、目を逸らせなかった。