7時発東京行き。
あの日から…俺は、先頭車両に乗っている。

我ながらあんなことを言っておきながら未練たらしいと思う。

時間を変えずに先頭車両に乗っている俺は、ホームに立つ彼女を一目でも見たくて電車の時間を変えれずにいるのだから…。

それからしばらくして…。
長かった彼女の髪は驚くほどバッサリ切られて短くなっていた。

そんな彼女を見かけた数日後のある朝、たくが改札の外で腕を組んで俺のことを待ち構えていた。
俺は彼女の話に触れたくなくて、たくのこともずっとあの日から避け続けていた。
ため息をついて

「よぉ、たく!久しぶりだな」

と話しかけるとたくは俺の制服に掴みかかり、キッと俺のことを睨み付けた。

「祥平っ!なっちゃんに何したの!なっちゃんに何を言ったんだよ祥平!!」

「何って…子供には関係ないよ」

たくの手をふりほどき、そのまま行こうとした俺の前に両手を左右に広げたたくがたちふさがった。