「はぁ。しかたないから今日僕を守ってくれたお礼に特別に教えてあげますよ」

彼氏はいないが好きな人はいると彼女はたくに話たそうだ。

彼女の完全な片思いで、一度も話したことがなくて、自分の名前も存在も知られていない…。

それって…俺じゃないよなぁ。

さっきまでのテンションが一気に下がる。

俺も彼女とは一度も話したことないし、名前は…多分彼女は俺に知られてないと思ってるはず。

だけど毎朝同じ電車に乗ってるんだ。

お互いに存在は認識しているはずだ。

誰だよ…。

藤咲は、叶には内緒で昨日俺に教えてくれた。

「菜月は探してる人がいて明日私と入れ替わるの。
それが誰だかは残念ながら私も知らないんだ。
でも仲良くなるチャンスだから頑張ってね、服部くん!」

まさか……叶…か?

あいつもこの電車の最後尾に乗ってるんだよな…。

双子って好みが一緒だって聞いたことあるよなぁ。

藤咲は多分…叶が好きだろ。

この間もお菓子作ってきたし。

叶はモテるもんなぁ。

ダメだ…。

叶に勝てる気がしない…。